2013-2014年 転職市場レポート IT業界の現状の展望

政権交代からにわかに囁かれている景気回復。株価も上昇し、指標から見る景気動向としては確実に堅調な伸びを示しているといえるでしょう。転職市場も求人動向(求人倍率)からは回復傾向が本格的に進んでいるようにも見て取れる状況になってきました。

下記、図表からも求人数(企業ニーズ)が上がり、求職者数が減少する傾向が顕著になってきています。好景気時には、求人数が求職者数を超える傾向がありますが、2014年にはそうした状況になる、もしくは肉迫することが予想されます。実際に山手線の中刷り広告なども転職エージェント一色になっているケースもあり、求人ニーズに対して候補者が不足していることが明らかです。

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■2014年は、IT業界の採用ニーズが高まってきている

IT業界の転職市場(求人ニーズ)はどうでしょうか。

分野別にニーズに違いはありますが、一様に採用ニーズは高まっていると言えます。リーマンショック以降、経営難に喘いでいた製造業でも、自動車産業を中心に蓄電(電池)技術・走行安全に関わる技術分野・スマートグリッド関連の技術分野での特に顕著な傾向が出ています。システム業界でもクラウドサービスやビックデータ関連技術がけん引し、既存のインテグレーションやERP市場も再燃してきています。WEB関連では、一時ほどの勢いは無いにしてもソーシャルゲーム業界の人員不足は解消はされていない状況であり、ゲーム以外のサービスなどの拡充により技術志向の高いプログラマーのニーズは非常に高い水準にあります。

加えて、UI/UXといったサービス設計を支える分野でのニーズ、DevOpsをキーワードに開発環境を整備するための技術者など、ニーズは高まるばかりです。先述のビックデータ関連技術はコンシューマサービスのみではなく、広告配信やレコメンドなど企業向けのサービスへの活用が増加。人工知能や機械学習といったハイレベルの知見を有する人材へのニーズも急拡大しています。

ここまでの話は、景気の良いものばかりでしたが、実際に変化の出ている部分もあります。リーマン前、もしくはソーシャルゲーム業界が過熱していた2年前と比べて実際の採用には慎重になるケースが多いことです。採用ニーズに対して求職者が不足している現実はあるものの、スペック(応募要件)を緩和してまで採用はしないと明言している企業も少なくないです。先行きの不透明感やリーマンショックでの経験がそうさせているのは間違いないですが、より高いレベル(技術・人物だけでなく、会社へのFit感、中長期での就業など)の候補者を厳選する傾向にあります。特に30代以上の年齢層に対しては顕著なようです。この世代の方には、今後ますます専門性プラスαを強く望む傾向にあるのは間違いなさそうです。

他方、20代の方には前職が同業界の方は勿論、異業界からでもポテンシャルを感じる人材にはオファーが出ています。いづれにしても、今このタイミングが転職市場においてはチャンスが多いことは間違いないと言えるでしょう。

■転職活動のタイミングは?「今でしょ」

これまでお伝えした通り、今転職市場は非常に企業ニーズが高まっている状況になってきています。今後もしばらくはこの傾向が続くと予想はしています。では、具体的なアクションを起こすタイミングはいつ頃が最適なのでしょうか。

明確な答えはありません。個々によって事情も違うでしょうし、この先の正確な市場が分かるわけではありませんから。ただ、これまで長く転職支援をしてきた経験からアドバイスできることがあるとすれば、いつやるのかそれは正に「今でしょ!!」ということです。
理由はいくつかありますが、大きくは以下の2点です。

【1】忙しくなればなるほど、実際には活動の時間が取れなくなる。
【2】好景気はいつまでも続かない。

一般的に景気がよくなれば、皆さんの業務が多忙になってくるのは自明の理ですが、忙しくなるとどうしても目の前に追われ、中長期的な目線を失いがちです。キャリア形成に関しても同様のことが言えるでしょう。

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来年に向けて掲げた目標やタスクも目の前の忙しさにかき消されてしまう恐れがあるということです。それはそれで、時間ができた時に改めて目標設定し、チャレンジすればよいことではあるのですが、もしその目標が転職しなければ果たせないような事項であった場合が問題です。【2】にあげたようにいつまでも好景気が続くということは絶対にないからです。

個人的な見解ですが、景気の波と株価は酷似していると考えます。バブル経済・ITバブルなどの好景気、直近のサブプライムローンからの株価暴落、いざなみ景気からリーマンショックと景況感を表しています。当然、景気動向と求人動向は密接な関係にあります。図表はITバブル以降の数値になりますが、注視していただきたいのは、この好・不調波の周期です。概ね、3年-4年の周期で大きな下落が生じています。リーマン以降、本格的な好景気は本年度に入ってからかもしれませんが、周期的にはそう長くないことが予想されます。

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また、2020年には東京でオリンピックが開催されます。このこと自体は非常に喜ばしいことですし、おそらくここに向けて景況感はよくなると思われます。そのことと上記の周期から考えると、2016年・2017年あたりに不況の波が来る可能性も高いということです。

2017年に読者の方は何歳になられているでしょうか。残念ながら、必ず年齢は毎年確実に増えていきます。
不況の中で30代、40代のキャリアを検討することはかなり難しいこともすでにご理解されていることでしょう。誤解を招かないように、あえてお伝えしますが決して転職を勧めているわけではありません。ご自身のキャリアビジョンや今後やりたいことを推進していくために、広く市場に目を向けていただきたい、そのタイミングとしては今が最適ではないでしょうかという提案です。

tateishi

コラム筆者
テクノブレーン株式会社  スカウト部門 マネージャー
碣石浩二(タテイシコウジ)

テクノブレーンにてエンジニア専門のスカウトエージェントとして勤務。
その経験から多くのエンジニアとの人脈を持つ。単に求人の紹介ではなく、エンジニアの成長やスキルアップに関心が強く、中長期な視点から今後のキャリア市場を捉える考えを持つ。


2013-12-11 | Posted in コラムComments Closed 

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