セガ第一研究開発本部 〜 セガの考えるゲームプランナーとは? R&D1運営室 企画統括マネージャー 小田隆志氏の場合

セガの第一線で活躍しているクリエーターにゲームプランナーという仕事を考える取材の第二回目。今回は、R&D1運営室で企画統括マネージャーを務める小田隆志氏にお話をうかがいました。

1992年に入社し、現在の第一研究開発本部の源流である第一AM研究開発部に配属。テーマパーク向けのアトラクションからゲームプランナーとしてのキャリアをスタートさせ、大ヒットガンシューティングゲーム「ザ ハウス オブ ザ デッド」シリーズを手がけ、現在は第一研究開発本部のプランナーを統括しています。

アミューズメントパークからアーケード、家庭用ゲーム機まで、ゲームの進化の歴史とともに新しい面白さに挑戦してきた小田氏の考えるゲームプランナーの仕事とは?

■企てを計画する力。そして、周りを動かす力が必要。

「ゲーム制作にはプログラマーやデザイナー、サウンドなどの仕事があって、これらはユーザーの目に触れる部分。これに比べるとプランナーはちょっと特殊で、実はゲームの中に何の痕跡もないのです。このゲームを作りましたとしか言えない(笑)。だって、そのゲームを企てて計画を立てた人だから。でも、この企画から設計図を描くのがゲームではとても重要で、映画における監督に似ています。『こういうのが作りたい』と言って、それを周りのスタッフに伝えて形にしていく役割。家を立てる時、設計図を書く人が釘を打ったりしませんよね。それと同じです」

白紙の状態から、どんなゲームを作りたいか?どんな表現やゲームシステムにするかを企画するプランナーは、ゲームのプレイ画面においては見えない存在。でも、面白いゲームに仕上げるために大切なのはプランナーの「伝える力」であり、それがゲームの面白さを左右する大切な要素なのだそう。

「セガには優秀なプログラマーやデザイナー、サウンドを創り出すクリエーターがいます。プランナーとして大切なのは、そんなスタッフの能力をいかに引き出して、自分のアイデア以上のものにしていくかに気を使います。みんなの力を引き上げていくためには洞察力や分析力、コミュニケーション能力が必要なんですよね。そういう意味ではプランナーにはいろんなタイプの人間がいたほうが、面白いゲームができるはずです」

いろいろなタイプのプランナーが必要と小田氏が言うと通り、かなり多くのプランナーがいるようです。

「ウチのプランナーは、それぞれが強烈な個性とこだわりを持った人間の集まりですよ。競走馬の系統に関して日本でトップレベルの知識を持っている人もいれば、ガンマニアにカーマニアなどもゾロゾロいます。面白いものを作ろうとする企画のこだわりが他社とは違うし、マニアっぷりをゲームの企画に生かすし、それを表現してくれるプラグラマーやデザイナーの技術力がある。お互いにもっと面白いものを作ろう、クオリティを高めていこうというスパイラルが働きますね」

株式会社セガ R&D1運営室 企画統括マネージャー小田隆志氏

株式会社セガ
R&D1運営室 企画統括マネージャー小田隆志氏

■幅広い「面白い遊び」を創るからセガのプランナーは面白い!

セガの手がけるものは、アーケードやコンシューマなどのゲームだけではありません。アミューズメントパークやおもちゃ、モバイルなどアウトプット先が多いんです。だからこそ、プランナーとして活躍できる土壌はゲーム業界経験者だけにはとどまらないようです。

「セガってゲームというよりもエンターテイメントを創っている会社です。ユーザーにエンターテイメントをどう伝えるかを常に考えているし、それができる人が第一研究開発本部のプランナーです。セガの場合、ゲームセンターがあり、家庭用ゲーム機、スマートフォン、フィーチャーフォン、アミューズメントパーク、おもちゃ、デジタルサイネージなどなど。そこにエンターテイメントがあれば、アウトプット先を選びません。この幅の広さに対応できるのもプランナーの資質に求められますね。マーケットを創り出す意識が強いですから」

幅広いアウトプット先があるだけに、プランナーには柔軟なアイデアや対応力が求められます。トイレの便器に液晶画面を付けてゲームにしようという斬新すぎる製品まで出しているくらいセガの自由度は高いそうです。

「あ、そこに行くかぁー、みたいな、あえて誰もやっていないところを狙う気概が強い(笑)。新しいものを作ってチャレンジし続けている会社だから面白いんです。実際、外の方から見てもセガは自由すぎる。こういうものが作りたいっていうものが実現できると言ってくれています。アイデアのアウトプット先を限定しないでプランニングできるのは面白い環境だと思いますよ」

ゲームのシナリオや世界観、ゲームシステムを作るのもプランナーですが、その枠を超えてエンターテイメントを創るのもセガのプランナーの仕事。だからこそ、幅広いバックグラウンドを持ちつつも、ものづくりにこだわった仲間と一緒に仕事がしたいそうです。

「あれこれ理屈ばかり言ってないで、行動できる人、そして面白いものを作りたいという熱意を持っている人。そして、それを製品にするまで持ち続けられる人でないとプランナーは務まらないでしょう。ヒット作を作りたいとか、誰も見たことのないゲームを作りたいっていう熱い想いを持った人と一緒に仕事をしたいですね」

■新しいジャンルに挑戦したい、面白いものを作りたい人へ

さまざまなアウトプット先、ライト層からヘビーユーザーが好む濃いゲームまで。とにかく振り幅が広いセガ。そして、ゲームはもちろんビジネスモデルも自由過ぎる中でエンターテイメントとマネタイズ方法をバランス良く考える能力も求められるようです。

「いろんなゲームを作っているということは、そのマネタイズ方法をそれぞれ考える必要があります。コインゲームもあれば、パッケージで売る場合もあるし、コンテンツ課金もある。極端な話を言えば、20億円の筐体を作って1台売れれば、開発に10億円かかってもペイしちゃうかもしれない。ビジネスの枠を自分で作れる自由さはあります。もちろん、売るための責任もありますが。新しいジャンルに挑戦したい、面白いものを作りたいという情熱を実現できる場がありますね、セガには」

自由さの中でそれぞれのプランナーは個性あふれるこだわりと作家性を発揮させるのがセガ流。小田氏の場合は、ゲームのプランニングにおいて、どんなところにこだわっているのでしょう?

「もともとアーケードゲームを作ってきたので 、最初の3分間のなかで面白さを伝えることにこだわっています。アーケードは100円の勝負なので、プレイしてすぐに見限られてしまったら商売になりませんから。また、ゲームを作り始めると映画とかマンガとかの大作や名作などには一切触れないようにします。刺激の強い作品を見てしまうと、どうしてもそれに影響を受けてしまいます。プランナーは出されたグラフィックや音楽の良し悪しを判断する立場であり、それがゲームを左右します。だからこそ、余計な情報をシャットアウトするんです」

と、これは小田氏流のゲーム作りのこだわり。企画やアイデアが行き交う中、面白さを判断するのはプランナーのセンス。小田氏はその判断が流されないようにするために、ゲーム作りに入ると自分の世界に没頭するそう。そんなふうに第一研究開発本部のプランナーはそれぞれにゲームの作り方の流儀を持っているのだそうです。

sega_oda02

■ゲームがリアルとリンクして新しいエンターテイメントを創り出すかも?

最後に小田氏が考えるゲームのこれからについてうかがいました。デバイスが変化する中で、ゲームはどのように変わっていくのでしょう?

「ゲームって遊びに見えますが、興味の持たせ方や継続させる力、モチベーションの持たせ方など、他にはない強みがあります。医療の現場や教育の現場でゲームの理論が取り入れられたり、老人のリハビリにもゲーム的な要素を取り入れて役立っていると聞いたこともあります。今後、ゲームは現実の世界により飛び出していくんじゃないかと思いますね。ゲーム感覚で仕事していたらレベルアップしてボーナス増えちゃうとか、出世しちゃうとか(笑)。新しいデバイスが出れば、新しいエンターテイメントのアウトプット先が増えるってこと。その中で新しいエンターテイメントを提供するのはセガの得意とするところ。いろいろな業界の方を巻き込んで、新しいチャレンジをしていきたいです」

いかがでしたでしょうか。セガにおけるプランナーという仕事、そのキャリアについて理解が深まったかと思います。決してゲーム業界の経験者のみがプランナーになるというわけではありません。さまざまな業界の経験とこだわりを持ち、新しいゲームを作りたいという情熱を持った集団がセガのプランナー。ここからまた誰も見たことのないエンターテイメントが生まれていくのでしょうね。


2014-04-16 | Posted in 注目の企業Comments Closed 

関連記事