「AIアカデミックネットシンポジウム」レポート

2017年6月23日に開催された「第一回 AIアカデミックネットシンポジウム」に参加してきたので、その模様をご紹介したいと思います。

この「AIアカデミックネット」は、DATUM STUDIOが運営し、『人工知能研究の第一人者に「会える・話せる」』をテーマに学術研究者と民間企業のAI技術者とのネットワーキングを目指しているそうです。

運営母体となっているDATUM STUDIOの里洋平さんは、2014年にキャリア・ラボラトリーでインタビューをさせていただきました。(その記事はこちら)

AIが盛り上がりを見せる中で、今回のシンポジウムも大盛況ハイアットリージェンシー東京27Fのホールが満席になっていました。

登壇者は、大学や研究機関で最先端のAIを研究されている方々。8人もの研究者が集まるシンポジウムはかなりの聞き応えのあるものでした。その内容をざっとご紹介します。

東京女子大学 情報処理センター 浅川伸一先生は、「ディープラーニングのビジネス活用事例」をテーマにした講演。ニューラルネットワークのビジネス導入における失敗事例を中心に、データが大きければ大きいほど精度が出るAIに対して、少ないデータ量でトライすることで、技術選定の失敗に陥っている問題点を指摘しました。

産業総合研究所 人工知能研究センターの赤穂昭太郎氏は、「ビジネスデータを用いたマーケットシェア解析」がテーマ。東工大、NECと共同で実施している産学協同プロジェクトやスーパーモデリングのマーケティングベースへの適用を中心に紹介しました。

早稲田大学高等研究所准教授田中宗先生は、JSTさきがけ研究者でもある方。テーマは「量子アニーリングのこれまでとこれから」。組合せ最適化問題を解くための有効なアルゴリズムとされる量子アニーリングの現状について解説しました。現在は、イジングモデル型情報処理ハードウェア開発に着手しており、今後、超高速で計算することが可能になると予想されます。

東京工業大学工学院准教授の中原啓貴先生の研究は「ディープラーニングのビジネス活用にむけて 学習から実装まで」。今後、ビジネスでディープラーニングが使われるために、ハードウェアの小型化が問題となります。中原先生は、2値ディープニューラルネットワークというコンセプトの元、組み込み機器への実装の研究成果を発表していました。

ここで、インターミッション的に対談が入ります。日本航空 渋谷直正氏とDATUM STUDIOの里洋平氏の対談。ビジネスから見たAIについて語り合いました。AIを活かすには、どんな課題を解決したいのかが大切であり、AIがすべてを解決するものではないとの意見。
AIは、その処理プロセスがブラックボックスであるがゆえに、ビジネスにおいて分析結果を説明することにはハードルがあると渋谷氏。里氏は、良いデータフォーマットを作ることでAIがビジネスに活かされていくといった意見を述べていました。

さて、ここから再び講義に戻ります。

早稲田大学 政治経済学術院の瀧澤武信教授は「コンピュータ将棋を背景とする AI 発展の歴史」をテーマに講義。話題になっている将棋界が人工知能をどのように受け入れていったのか、AI将棋の歴史の起点から紐解く内容となっていました。

東京大学大学院 情報理工学系研究科の山崎俊彦准教授は、『「魅力を数値化する」ビジネススコンテンツ解析の実例』というテーマ。面白さ、引き込まれると人間が感じるコンテンツを数値化するために人工知能を活かす手法について解説。この魅力解析は、レクチャー、ショッピング、EC、営業、面談、結婚相談など、リアルなビジネスや社会にとってインパクトを与えそうなテーマです。

東京工業大学 科学技術創成研究院の奥村学教授のテーマは、「ビジネスデータに対する言語処理技術の活用事例」。チャットボットなど、人間と対話できるコンピュータが求められる中で、人間の代わりとなる人工知能技術について講義しました。

と、駆け足で講義の内容をお伝えしました。AIアカデミックネットシンポジウムでは、こういった最新の研究事例はもちろんですが、懇親会も開催され、そこでは登壇した先生や参加者と交流をすることができ、さまざまな研究者や技術者とのネットワーキングが構築されていました。

 


2017-07-18 | Posted in コラムComments Closed 

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